窒化ホウ素とポリロタキサンを混合した複合材料において、窒化ホウ素粒子に対するプラズマ表面改質と電界印加による組織構造制御を組み合わせることによって、金属並みの熱伝導率(10 W/mK以上)とエラストマークラスの柔軟性(ヤング率:77 MPa)を併せ持つ絶縁材料を実現しました。本材料は従来の工業材料には見られない物性を有しており、フレキシブル機器の放熱用途などへの応用が期待されます。
掲載論文:Composites Part A 184, 108197 (2024) [doi:10.1016/j.compositesa.2024.108197].
多孔質材料である金属有機構造体(MOF)を用いることで、プラズマ生成種の選択的その場抽出を実現しました。雰囲気から選択的に特定の分子を抽出することにより、例えば、生成種の二次反応による消失を防ぐことができます。プラズマとMOFとの相互作用は、貯蔵・物質変換・検出プロセスなど、多方面への応用展開が期待されます。
掲載論文:Appl. Phys. Lett. 124(12), 124101 (2024) [doi:10.1063/5.0196178].
インクジェット装置によって吐出されたサイズの揃った液滴を、プラズマ影響下にある疑似的に閉じた反応場として用いることで、極めて狭いサイズ分布(変動係数で1.5%)を持つ粒子合成を、Ag粒子を対象に実現しました。プラズマ雰囲気の温度制御も、その実現には重要な役割を果たしているものと考えられます。
掲載論文:ACS Omega 9(12), 14310–14315 (2024) [doi:10.1021/acsomega.3c10215].
電界誘起コヒーレントラマン散乱において、赤外光を入射光、可視光を検出光とすることで、微小な電界の検出を可能としました。論文発表時点において、既存の報告値に対し、約一桁近い感度の上昇をもたらし、大気圧水素雰囲気において、0.5 V/mmといった微小な電界の検出を実現しました。プラズマ雰囲気の理解が我々の主な興味とはなりますが、水素雰囲気に限らずラマン活性な雰囲気における極めて感度の高い計測法であり、多彩な分野への貢献が期待できる計測手法の開発です。
掲載論文:Phys. Rev. Lett. 129(3), 033202 (2022) [doi:10.1103/PhysRevLett.129.033202].